代表野口_黒バック 「今週の一言(いちげん)」第92話退職者が、あなたの懐具合を大きく改善してくれるワケ

11月23日2

「忙しいから、人を入れないと間に合いません。接客が遅くなると、お客さんを怒らせちゃいますからね。

だって、売上あげるのが、商売でしょう。特に今はイベントを計画しているから。イベントの回数ですか?いえ毎月は出来ないですよ。それは無理。

ウ~ン、人件比率ですか?確かに閑散期だからって、人は切れないからね。」

 

この会社では、昨対比で大きく売上を伸ばしています。

売上アップは嬉しいはずが、経理部門は浮かない顔です。

人件費の伸びが大きく、労災保険や社会保険料などの負担も増えています。

 

多くの企業で、売上アップを目標にしています。

売上を目標にすえのは、一番わかりやすいからです。

社長にとっても社員にとっても、売上は共通言語。

 

売れた、売れないは、すぐ分かるし、売上アップはないより励みになります。

会社の業種と売上規模を聞くとおおよそ会社の概要が分かります。

売上規模が大きいと、皆一様に「ほお~、イイ会社ですね!」と褒めてくれます。

 

しかし、ここへ来て、パート・アルバイトの退職が増えて来ました。

社員たちも自分たちの仕事が増えて、新入のパート・アルバイトに指導が出来ない。

疲れてくると、皆イヤな顔になる、ぎすぎすした職場環境です。

 

「人手不足だよ、すぐに人を入れてくれ!」

「分かった!すぐ入る」

で、「使えない人は入れるな!」

 

職務経験がある人であっても、職場に慣れるには、指導時間が必要です。

まして初めて仕事に就いた人たちが、接客につくまでには教育無しでは無理。

結果、「採用したのに」「だって一週間で社員から辞めると言いだすのですから。」

 

そもそも、売上を上げるのは、「利益を出すため」です。

商品(サービス)- 商品の原価(人件費)= 粗利

粗利 -固定費(家賃や管理部門の人件費)= 利益

 

「利益を増やす」のが商売の目的ですから、新たに雇い入れた人の人件費で利益が減るのは本末転倒です。

新たに雇った人の人件費は、粗利の増化した分から負担するものです。

 

さて、多くの企業では売上を上げるために、人を雇います。

まだ、粗利は人件費を負担できるほど出ていないが、たぶんこれから出るであろうと予測して準備している?と言う優良な会社もあります。

 

利益予測せずに、とにかく販売量を増やすことで売上を上げたいと思って採用を増やす会社も多いのです。

販売量を増やすことで売上を上げたい会社は、たくさん売れる商品を仕入れて販売しようとします。

 

大抵の場合、たくさん売れる集客商品の粗利益率は極めて低い。

売れる理由が、他社よりも一円でも安い!というわかりやすく廉価商品だからです。

薄利多売とはよく言ったもので、売れる!個数がでる!

 

傍から見ると、社員は忙しく動き回っており、仕入もふえ、取引金額も増えているので、儲かっているように見えます。

これを「忙しい」から「儲かっている」、利益が出ていると勘違いしていませんか?

 

人件費には、支給額の他に通勤費・労災保険・福利費などが加わります。

正社員の場合社会保険料を含めると、支給額の1.5倍~2倍のなると言われます。

アルバイトの賃金を15万円/月額とすると、稼ぐべき利益は22.5万円です。

 

利益を22.5万円稼ぎ出すには、粗利5%の商品をいくら販売すべか計算です。

22.5万円 ÷ 5% =販売すべき商品売上高 450万円 !!

新人のアルバイターに月額450万円の売上ノルマを課したら、どうなりますか?

 

安価な300円の商品を450万円販売するとなると、15000/月となります。

月に20日勤務するとすれば、一日750個、一時間あたり107個販売しなければなりません。

これでは、まっすぐ「ブラック企業」への道。

 

こんなことをすれば、従業員とのトラブルになってしまう、とすぐに分かります。

資金を増やして儲かる社長が欲しいのは、粗利がふえて、従業員とのトラブルがない会社ではありませんか?

 

販売個数を増やす施策は、大変苦難がつきまとうものです。

 

販売個数を増やさずに、粗利益がふえるのは、

① 販売価格が上がって、販売数はそのままか、若干減らす。

② 仕入(原価)をさげて、販売数はそのままか、若干減らす。

 

仕入原価を下げる、製造原価を下げる、これもまた、難しい事です。

仕入れ値を下げようとすれば、仕入個数を増やす、つまり大量仕入が必要です。

大量仕入は、大量販売があって出来る事だからです。

 

中小企業の賢い社長が取るべき道は、

① 販売価格が上がって、販売数はそのままか、若干減らす。

 

仮に先ほどの事例で、粗利益率30%の商品を販売すると

22.5万円 ÷ 30% =販売すべき商品売上高 75万円 !!

一桁楽に減りました、一日あたり37500円 、300円商品で125個、一時間18個の販売で、目標を達成できます。

 

同じ粗利益率で、1000円の商品だったらどうでしょう。

一日あたり375個の販売で、目標達成です。

 

もし、粗利益率が、80%(飲食店ではあり得ますよ)の商品なら

22.5万円 ÷ 80% =販売すべき商品売上高 281,250円 !!

いっぱい380円のうどんだと、一日37杯 一時間あたり5名のお客様で達成です。

 

廉価は薄利ではありません。

お客様に取って「一番経済的です」と言うお薦めであっても、自社にとって粗利益率が一番高い商品になりうるのです。

 

簡単に言えば、「粗利率をあげしましょう」と言うことです。

安易な値下げは絶対しない」と言うことです。

 

小売店では、全ての商品を急に値上げできません。

しかし新製品の発売は、大きなチャンスです。

新たなスタートの商品ですので、値段を適正につけることが出来ます。

 

「松・竹・梅」、「並・上・特上」 みな同じアイテムの商品で値段が3段階。

さらに、上位機種を一定期間で出し続けるアップルのやり方を学びましょう。

値段を上げる方法は、大きくするも小さくするも薄くするも厚くするも、いろいろな方法があるのです。

 

社長様に、是非考えていただきたいのは、人件費は粗利に連動していると言うこと。

粗利益を上げる方法を考える時間を持つには、退職者が出たことはチャンスかもしれません。

 

社長様の会社は、忙しさで採用を進めていませんか?

売上に呼応するのではなく本当に利益をだせる人材採用になっていますか?

 

大事なことなので、もう一度言います。

人の採用は粗利に連動して考えるべき事項です。

人件費は粗利に連動して計算すべき項目です。