代表野口_黒バック 「今週の一言(いちげん)」第63話会社の今が分かる、3つの数字を押さえよ!

5月4日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今月暇ですね。だから、不安になってしまって、、、。社長は大丈夫だと笑っているんですけれど、来店人数が少ないと不安になってしまいます。

数字ですか?いつもは月末集計ですが、週の集計ですね、やってみます。」

 

会社の今の業績がいいのかワルイのか、判断できる3つの数字をご存じですか?

 

一つ目の数字は、客数の伸びです。

小売業であれば、来客者数の伸びと、実際に購入した客数の伸び。

卸売りや製造業であっても、問い合わせや見積書発行数、成約した新規取引先増加の数字。

 

二つ目の数字は、ライフタイムバリューです。

ライフタイムバリューとは、既存顧客の購入累計額(Life Time Value)です。

既存顧客との関係が良好に継続できていると売上の総額は上がってい来ます。

客単価×リピート率もしくは既存顧客×新商品の購入回数といった顧客との関係性まで示す数字です。

 

さて、三つ目の数字は預金通帳の残高です。

商売がうまくいっているとは、お金が増える事です。

信用も、安心も、将来のビジョンも、つまるところ資金の増加に現れます。

 

3つの数字は、経営者が押さえる大事な数字です。

但し、預金通帳の数字は、経営者や経理の担当者でなければ目にしません。

会社の預金通帳は、事業経営者にとっては、事業の成功不成功の明快な判断基準の第一ですが、財産管理の面からは大半の従業員が見知っていいものでもありません。

 

過去の財務諸表がどれほど良い数字であっても、いま現在、客数の伸びがない、来客数も伸びていない、売上も同様というのであれば、どうでしょう。

すぐに危機感をもって営業活動を立て直す必要があります。

見るべきは、今の会社の業績を示す数字です。

 

亭主や女房の欠点には目をつむっても、会社の数字に目をつむってはいけません。

目をつむれば、ますます会社の業績が悪くなるのは、明らかです。

 

では、従業員が数字を知らずに売り場に立っていていいのでしょうか?

いいえ、客数・LTV(もしくは客単価)この2つの数字は、必ず社員と共有すべき数字です。

 

特に客数は、大事な数字です。

業態の違いはあっても、新しい取引先の増加は、嬉しいものです。

忙しいとなにやら売上は上がるだろうと思えて、ニコニコしてしまいます。

現場で従業員がリアルタイムにカウントでき、社員にやる気を起こさせるからです。

 

例えば、今月の売上予算を100万円とします。客単価は実績から2万円/一人

 100万円÷2万円/一人=50

予算の客数は50人/月です。4週営業すると考えると、週13人が目標の客数です。

 

もし、第1週第2週と、週に10人ずつ、客数が20人だとすれば、どこかで6人を挽回しなければなりません。どんな対策を打ちますか?

6人だったら、お客様に電話をかけて、来店を促す事ができるでしょう。

 

もし、これを最終週まで放置したらどうでしょう?

一週間の目標の13人の他に9人の客数不足だとすれば、目標は2倍近い22人。

数を聞いただけでも、電話だけでは無理かな、人員を増やしてセールを開催か?

手が遅れると挽回はそれだけ難しいのです。

 

会社の主要な指標=主要パフォーマンス指標は、売上高や、粗利率などの一月単位で見ているものが多いのですが、経済環境が変化している現在、一ヶ月後では遅すぎる、一日でも早く手を打つ必要があるのです。

現代の変化に対応するには、日々の従業員の行動指標と出来る数値が必要になっています。

 

飲食店では、時間ごとの客数をカウントしている店舗が多くあります。

飲食店の特徴は、お客様の利用時間帯とリンクします。

利用客が多い時間に人の配置をより手厚くすることで、お客様へのサービスと成果としての売上を得ることができる訳です。

 

改善のためには、来店者数と客数について、過去の実績と今の実績を書き込む表が一枚あればいいのです。

何をしたら数字が上がるのか、予測力を高めて、生産性を上がることに繋がります。

欲しい数字を知って、実績を確認すれば、欲しい数字との乖離を素早く回復させるために必要な手を打つ社員が育つのです。

 

さらに数字は、その数字を達成する責任を従業員に持たせることに繋がります。

予算達成の実行方法を従業員にゆだねれば、達成する工夫を考える人材が育ちます。

接客して、売れれば嬉しい、と言う感情の他に売上を勘定出来る人材が出来ます。

 

さて、かの店長さんは、売上を集計してみました。

昨対比で、確かに売上は少々伸びています。

社長の言うとおりに、売上は伸びているものの、客数の伸びが見えません。

 

「社長、確かに社長の言うとおりです。売上金額は大丈夫でした。でも、心配じゃありませんか?お客様を増やしていかないと、将来不安になっちゃいますヨ。」

 

会社の業績がいいと従業が感じるのは、客数の伸びです。

売上があっても、客数が伸びていなければ、マーケティングがうまくいっていない事を数字は示してくれます。

 

それぞれの会社によって、どの主要パフォーマンス指標を採用するかは、違いがあるでしょう。客数やLTVがすべての会社に正解ではないはずです。

一番大事な事は、社長が会社の指標を一つに決定する事です。

ひとつにしないと、チームの達成感は生まれません。

しかも、難しい困難な目標を設定した方が、従業員は燃えるしガンバルものです。

 

安易に工期を伸ばして、数字は下請けに測定させて、結果、売上も収益も挽回する事ができなかった大手電気メーカーT社と、債務超過から、利益率数字の目標設定を掲げて回復した自動車メーカーS社。

比べて見れば、私たちの取るべき道は見えてきます。

 

会社の数字から目を離してはいけません。

従業員にと主要パフォーマンス指標を共有する事を避けてはいけないのです。

しっかり見続ければ、ご褒美がついてきます。

 

社長と従業員が同じ数字を見続けると、同じ夢を共有する同士になります。

社長の夢を楽しむことが、従業員にとっても楽しいこととなります。

そして、変化をつかみ取る力、新たな事業を構想する力を従業員にも与えて、会社を安定的に成長させてくれます。