代表野口_黒バック 「今週の一言(いちげん)」第221話ビールとウイスキー、儲かるのはどっち?

 

Fromノグチ

 

今朝の朝ドラは、北海道弁ふんだんでした。

 

(なして、損してるのに、ビール作るのさ?)

NHKの朝ドラを見ていたら、北海道弁が出てきてしまった。

“どうして?”が“なして?”、それに疑問型接尾語の“さ”がつくのが、北海道弁。

 

北海道弁と、この疑問には、ちょっとつながりがあります。

北海道の実家、酒屋の娘時代に、父にした質問でした。

当時、○トリー社は、ダルマで大繁盛でした。

 

ダルマは、丸くて黒いずんぐりビンのウイスキーです。

水割りが、流行って、日本酒が廃って、

子供心にも、商品のはやり廃りがあるのだなぁと、、、

 

しばらくして、○トリー社は、ビールを造ると発表しました。

(へ~、ビールが儲かるから始めるんだ。。。)

儲からない?商売をなぜするのか

「いや~、儲からないっしょ~」

当時はまだ「外交さん」が、毎日のように店に来ていました。

店の商品棚に、倉庫に、さらに販売先の飲食店に、

自社製品を置きまくるのが「外交さん」。

 

量をさばくのが、イイ小売店だったから、とにかく値引き販売

当然、仕入れ値の安くなるところから、大量仕入です。

(当時は10箱飼えば一箱オマケ、さらに販促品の提供もあった時代です)

 

酒屋業界のあっちの情報、こっちの情報を仕入れては、

小売店店主相手に、販売合戦をするのが、彼らの仕事

当然、製品の売れ行きや、利益の推移を知っていて話しをしているのです。

 

(なして、損してるのに、ビール作るのさ?)

 

「なしてだかね~、俺たちには分からないっしょ。

企業戦略っちゅうことらしいですよ。」

 

(ふ~ん、そうなの)

バカな返事ですね~、何も分からないのに、『そうなの』(笑)

 

当時の私は、目の前の売上しか分からなかった。

店でよく売れる商品がダルマで、ビールは地元のメーカーの商品しか売れない。

それなら、よく売れる商品ばっかり作れば儲かるだろうと思っていました。

 

戦略的な、という言葉が何を言うのかさえ分かっていませんでした。

ただ、父が言った言葉が、耳に残りました。

「ウイスキーは、年数がかかるからなぁ、歩留まり悪いし、、」

 

3つの痛み

経営者には、3つの痛みがあります。

「売上」

「利益」

「資金繰り」

 

今のウイスキーは、何年前に仕込んだ原酒から瓶詰めされたのでしょう。

発酵して、蒸留して、樽に詰めて熟成して、12年とか15年とか、、、

その間 売上に繋がらない。。。

資金は寝ます。

 

ビールは?

1ヶ月から3ヶ月で(もっと早いのも遅いのもあるらしい、、)できあがり。

ちなみに、賞味期限も短くて9ヶ月。

 

経営者にとって、資金繰りは、常に恐怖です。

利益を出して手元資金を積み上げていたとしても、

15年も販売が出来ない製品づくりは、損失への恐怖がハンパない。

 

全ての樽の中で、本当に品質が保持できるのか。

好調に売れれば売れるほど、在庫はなくなる、将来の売上もなくなる。

熟成が長ければ長いほど、資金が不足する。

 

会社の資金から見れば、

早く資金がまわる商品は、大切です。

それが、たとえ「薄利」であってもです。

 

これはあくまでも、ノグチの空想。

いま、一番の痛みを何と考えてのかな?

それを回避する戦略は何かな?

 

「売上」「利益」「資金繰り」

3っとも大事だけれど、一番の痛みに集中する。

それが、当社の戦略になります。

 

―ノグチ

 

PS.

足もとの販売は大切なので、ともすればそこだけに目がいってしまうものですね。

人財・戦略・資金、自社を大きく見渡すには、決算書の細かい数字より、図形にした方がよく分かります。

大きな図形の書き方を「ロ、ト、ト」と教えている生命保険会社社員さんに会いました。簡単に見渡す方法が、忙しい経営者には、大切だと改めて思いました。