代表野口_黒バック 「今週の一言(いちげん)」第83話生産性が2倍、仕事が出来る人材をつくる方法

9月21日

「試算表に売上値引があって、ビックリしたんですよ。不良品が出たのかと。

そしたら、販売管理ソフトのせいだというじゃないですか。

高齢の経営者って、ITのことは分からない、担当者任せが普通ですよね。

ところが、ウチの会長ときたら、凄いですよ。ITなんか知らなくても、販売管理のソフトの数字を見て、部長通り越して直接若いIT技術者を呼び出して、正しい方向にやり直しさせたんですよ。」

 

営業事務・営業経理は会社の基幹の仕事です。

売上と資金回収の両方を押さえる肝どころです。

販売管理業務ソフトを導入されている会社は多くあると思います。

 

お話しを伺った会社でも基幹の売上管理を、自社開発ソフトで運用していました。

集計された売上数字を財務ソフトに提供して、財務諸表を作成しています。

財務諸表作成責任者は、経理財務部門の部長です。

 

会長は、永年会社の財務諸表データを視てきました。

特に売上は、もっとも関心のある部分です。

売上高の増減の理由、どうして増えたか?どうして減ったか?

経営には、原因をハッキリさせることが何より大事だと考えています。

 

会長は、試算表をみて、ふと疑問をいだきました。

なんで売上値引が発生するのだろうか?

早速、子息の社長に「理由を教えて。」と問い合わせしました。

 

社長はその指摘に、背筋が伸びました。

 

元々は、一社で製造販売をしていましたが、20年前に製造部門・販売部門それぞれ単独の会社になっています。

販売会社からの発注で、製造のみを行うのが現在の製造会社です。

値引が発生するとは、製品に何らかの不良があったことに他なりません。

 

不良品の報告など聞いてない!

工場長に、「何があったんだ?」と電話します。

工場長は、「いったい何があったんですか?」と聞き返す始末です。

 

経理部長も呼ばれて、試算表に記載された売上値引の理由を確認です。

「ええ、それは倉庫に戻ってきた商品の引き取り額です。確かに論理的には値引きでは無いです。ただ、ソフト上出庫製品と引取製品を分けてカウントするのでその項目に入るのです。ソフト設計で、そう設計したのです。」

 

「じゃ、その設計を直せばいいじゃないの。」

「でも、すでにこのソフトを運用しだしてから、5年間これでやってきました。基本設計を直すとなると、時間がかかります、お金がかかります、ですから、、、」

 

「論理的におかしいものは、どっちにしたって直すべきだろう。」

押し問答30分、やおら会長は秘書にIT担当者と話したいから呼んできてと頼みました。「今のだいたいの流れもこっちへ来る間に話しておいてね。」

 

IT担当者は、「どのような表になれば、いいのでしょうか?」と帳票を数枚もって現れました。

 

「この数字は、この表のここに、財務に飛ばすときは、ここに飛べばいいのよ。そこで出てくる問題は、書き出して社長と経理部長に報告して。そうすりゃ、私のところにも回ってくるから。」

「分かりました。すぐ直します。」

 

この間たったの15分!

生産性の高い人とは、ゴールから段取りを考えるから、仕事が早い、効率良く稼ぐ、結果を出す人ということです。

どのみち20%は訂正することもあるから、まず80%の見通しがつけば良しと、考える人です。

 

永年、日本のホワイトカラーは生産性が低いと言われ続けてきました。

理由は何でしょうか?

IT環境整って、時間がかからなくなっているはずなのに、なぜ生産性が低いと言われ続けるのでしょうか?

 

完璧主義が、足を引っ張っています。

前例主義で、壁が出来ます。

もう一つは、稼げない自分を隠したい心です。

 

会社経営で 生産性が高いとは、一人あたりの売上・利益が高いことです。

会社が安定して発展するには、原価削減より経費削減より肝心要の売上を上がる事。

なんだかんだ言っても利益の源泉は、売上なのです。

 

日本の中小企業が、生産性を上げられないのは、ホワイトカラー(特に経理部門)に、売上拡大に貢献している自分を思い描いていない人を採用し続けてきたセイではないかとさえ思えます。

 

試算表を作れば仕事はおわりと思って過ごしている経理担当や会計事務所を利用している経営者は、大きな損をしていることに気づいて下さい。

 

忙しいから、「数字はお任せ」ではなく、社長は儲ける責任があるから「数字は担当者から責任を持って報告してもらう」が正解です。

そう、意識して数字を報告する担当者を採用すればいいのです!

 

会社の売上目標は、全社員が見える社員食堂の前に大きく張ってあったのに、社員の目にはどうでしょう。

億単位の数字は目には見えても、自分に関係ない数字に映ってしまいます。

 

社員にも自分のこととして感じてもらうには、パーヘッド、一人あたり売上を上げる目標を立てる事です。

 

社長は早速、一人あたりの売上つまり生産性向上を目標に掲げました。

経理部長の業務の中に、毎月一人あたりの売上を社長に報告する仕事ができました。

経理部長の報告には、なぜ人が増えたのか減ったのか、そして、売上の増減の理由も次第に入れ込まれるようになりました。

 

経営者は、数字を社員に見せると、賃上げ欲求になる、だから見せてはいけないと考える方もいらっしゃいますが、社員は、給与だけで会社に繋がっていません。

社長の考え方や、会社の目的、褒められた言葉、つまり社長の人間性に繋がっているのです。

 

成果が出たと、社長が上司が社員に言葉をかける、褒めることが、会社への忠誠心を持たせるコツなのです。

給与だけで人を動かそうと給与を上げると退職する人が出てきます。

時に給与は、従業員間の嫉妬や不満を引き出す結果を生み出します。

 

真の成果主義は、全社の生産性を上げることです。

 

社長は、全員が関わるたった一つの大きな数字目標=「一人あたりの売上目標」をつくることで、会社全体の生産性を上げる事ができます。