代表野口_黒バック 「今週の一言(いちげん)」第155話「アレ」がない後継者育成は、時間とお金のムダ

 

「今の課題は、後継者の育成ですね。今研修に行かせています。業界の後継者育成塾っていうのがあってね。スキルや情報も大事だけれど、同年代の仕事仲間を造らないと、と思っているんです。タダね~…、困ったこともあるんですよ。」

 

後継者には親族がいい。

息子はいないが、娘婿がいる、しかも学歴優秀だし、人柄もいい。

 

ただし、自分の仕事・業界のことは全く知らない。

会社に入ってきてやっていけるのかどうか心配だ。

 

愛想が良く人柄もいい、ゴルフや飲み会の対応もいい。

願ってもない人が、娘婿としてやってきた社長は有頂天になったか?

というと、そうでもありません、ちょっとふさぎ顔です。

 

いい子だよ。ウチの娘にはもってこいのイイ人だ。

ただね~、1つこれをしてやろう、が見えないんで、困っているんだ。

1つ新しい企画で、成功させれば、従業員から認められたと自信がつくと思うんだ。

 

業界団体の勉強会で、後継者塾があると聞いた。

本人も、まず勉強させてほしいと言う。

そこで、学んで来てくれと送り出しました。

我が社に必要なのは、業界の「一部」

業界団体の塾です。

業界の歴史的背景や直面する問題等々課題をたくさん取り上げます。

 

当然、業界に関与したい事業会社、税理士・弁護士等の士業の先生、ジョイントしたい同業者も、もれなくついてきました。

 

イイ人である後継者は、来るモノ拒まず愛想良く接しています。

おつきあいが大事、ビジネスは人脈でできて行くと、積極的に話しを聞きます。

沢山の案件が机の上に山積みになります。

 

資料が山積みになるだけではなくて、電話が入ります。

取り次ぐ事務所の女性社員からも、「何でもすると何もできなくなりますよ。」と助言されるほどに。

 

さらに、ゴルフのつきあいや時節ごとの飲食会合と、出かける仕事が増えます。

しかし、社長直々に出席をするように言われた会合ですから、断るわけには行きません。

 

「確かに有意義な研修だったけど、職場でどう活かすかは、正直分かりません。

職場のみんなが実践できる内容じゃないんですよ。資料を見せても、難しそうだねと言うだけで、皆の関心が無くて、話すこと止めちゃった。」

それが、現実です。

部長会議に出席する面々は、会社の古株。

古いだけでは無くて、売上も上げ、現状の問題点も人一倍勉強し社長と論議ができるいわば企業内のスーパースター達です。

 

実は部長会議に出席している面々は、彼が持ってきた後継者塾の資料に書かれた一般論は、百も承知の話し。

それでも黙って後継者を聞いています。

 

その情景が数回続き、ついに社長は大声を上げてしまいました。

「もう止めろ!自分の考えを言え!誰かの話を自分の考えのように言うな!」

 

部長の一人が、後継者に声をかけました。

 

俺たちは、社長から1つの部門を預かって、仕事をさせてもらってる。

だけど全体は分からない。

後継者には会社の将来を企画してほしいんだよ、社長は。

 

「目的」と「数字」

会社が成長するにつれて、売れたからできてきたビジネスユニットに分かれてきました。

部長が言う部門です。

ユニットを横断するように、会社全体の情報をまとめるのが、会計・財務・人事など。社長は会社の情報をとりまとめる仕事に後継者をつけたかったのです。

 

「部長達がね、それぞれの目標を数字でだせるようにしたいんだよ。

人(社員数)の目標もあっていいだろう、売上だけじゃなくて。

経営者塾って、そういうの教えるところだと思ったんだよ。違ってた。」

 

「これで、後継者と部長達の垣根が無くなったよ。なんか楽しそうに部長達と話しているね。大きな仕事ができるらしいよ。オレの金がなくなりそうだけど()

 

目的・目標が明確になる。

それは数字になることです。

数字になってなければ、それは単なる思い付き。

 

良いアイデアは、目標の数字もコストの数字も一緒に連れてくるものです。

 

PS

新参者は辛いですよね。何で教えてくれないんだ!って思う秘密(しかも後から聞けば、当然の原理)は、見えないものです。

飛び込んだから分かった。で、計画を変更する柔軟性が大切なんですね。


登録タグ